キン欲マン

己の欲望に打ち勝つための備忘録

1日目

禁欲初日。

意気込んで始めたこともあり、性欲は見事に理性でコントロールできている。

身体的に、特に変化は感じられない。

ネットが普及してからというもの、私の餌場はもっぱら動画サイトであった。有名どころにはひと通り目を通し、お気に入りの動画をすぐに見つけられる検索ワードも脳裏に焼き付いている。今日のところはアクセスせずに1日を終えそうだ。

初めての自慰体験は小学校6年生の時だった。うつ伏せで寝た時、なんとも言えない感覚を覚えた。擦り付けると感覚が増幅することに気づいた。そして隣に寝ていた母親にひとこと「あんた何やってんの」と静かに言われたことは、今でも思い出すとぞっとする。

それから人類は試行錯誤を繰り返した。

私が子供の頃は体育館裏や道路脇に成人雑誌が捨てられており、見つけるとハイエナのように仲間たちが群がった。

当時はVHS一強であり、デカデカとタイトルが書かれた背面をどのように隠すか策を巡らせた。

ゴールデンタイムのテレビ番組で女性の裸体が出ることは珍しくなく、茶の間に気まずい空気が流れた。

深夜のテレビ番組では堂々と新作が紹介され、ラブホテルのコマーシャル明けが待ち遠しかった。

イジリー岡田は、その筋では有名だった。

そんな黄金時代を経て、今の私がある。